クレオールの思考

・ヒト遺伝子に組み込まれた、思考する能力を解発するバイオプログラム「普遍文法」。
このプログラムに関連するシステム自体をクレオールと考える。

この場合のシステムとは、統率・束縛理論を含む生成文法理論や、
数学によって思考されるシステムを含む、メタ・プログラムを指す。

しかし単に言語学や、数理論理学の用語にとどまらない。
蜘蛛にとっての「巣の設計図」遺伝子と同じく、種分化を決定した起源のプログラムである。


・クレオールは、縄張り、利己性、攻撃衝動といった生物種の限界を超えて、
人類が新たに獲得した「思考本能」という高次のモジュールである。

あるいは、人種や伝統といった差異に対して「先行する普遍性」という概念を提出した。
イェルネの「免疫システムのネットワーク理論」が解き明かした、抗原に先行する抗体のように。


・臨界期後の離散無限性を獲得した「文法=思考=言語」は、科学や技術を探求した。
だが一方で、例えば「情緒」というプログラムも並走していた。

国家の形態は、一切の例外を許さない動物の本能行動などの、
臨界期開始前のプログラムから必然的に行き着いた、未必の故意である。


・水爆を兵器として開発し、安全保障理事会の常任理事5ヵ国だけで独占保有する、
その現在の国連ではなく、 真に世界中の英知を結集させ、国家を超える法規範を定め、
そして理想的な武力を保つ世界組織が、もしも実現できたとしたら。

いやしかし、それでは結局は、終極的な全体主義に行き着いてしまう。
マルクスやオーウェルの思考でさえ、このジレンマは未解決に終ってしまった。
はたして、必要悪としての国家システムを再構築することは不可能なのか。

戦争・虐殺の歴史が証明するように、人間の政治能力、組織に対する能力、そして
同種間の「関係」に対する能力は、大脳辺縁系レベルにとどまっていたようだ。


・精神医療の臨床現場では、パブロフがたどり着いた第二信号系条件反射を応用して、
攻撃行動等の抑制治療が行なわれている。
しかし、これらの方法を第一信号系にまで適用しようとすると、優生学が惹き起こされてしまう。

我らがチョムスキーも、人類と言語の進化にとって、
社会的相互作用は副次的なものでしかなかったとしている(2014年3月)。

進化の淘汰圧とエントロピーの増大が、不可逆の法則であるならば、
進歩や発展、成長や開発といったベクトルを絶えず疑ってみなければならない。

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